ibip Patent Academyの講座「IPA001: 米国特許関連法及び特許翻訳講座」は2016年3月に終了し、大変ご好評いただきました。米国特許法と特許翻訳をテーマとするこの講座は、語学力、技術知識、そして特許法の知識をバランスよく習得し、日頃の特許実務・特許翻訳をより効率的に、より的確に行えるスキルを身に付けていただくことを目的に、特許実務者や特許翻訳者等、特許関連業務に携わる方々を対象に開講されました。
全て英語にて行われた本講座には、十数年以上のキャリアをもつ特許翻訳者から駆け出しの翻訳者及び翻訳チェッカー、更に日本人弁理士や様々な特許業務のプロフェッショナルの方まで、多くの方々にご受講頂きました。
受講者の皆様より、本講座について以下のフィードバックを頂いております。
6回のセッションを通して、受講生は現在の米国特許実務の様々な側面や多くの特許特有の「ルール」を学びました。例えば特許出願者や特許事務所がクレームでなぜ特定の用語やフレーズを避けるのか、などといった点です。受講生が長く疑問を抱いていた点にもお答えすることができました。
米国特許法関連の講義の内容
米国特許法入門
特許とは何か、特許により得られる保護は何か、特許の基本的な法的要件(有用性、新規性、非自明性)とは何かを解説するとともに、米国特許商標庁(USPTO)の審査官がこれら法的要件をどのように評価するかにつき解説しました。
米国特許明細書と米国特許法101条による法上の保護対象
特許明細書に記載する内容とその記載要件をより詳細に解説するとともに、米国特許法101条に規定する法上の保護対象について、コンピュータ関連発明(computer-implemented invention)の適格性に関する最近の動向も踏まえて検討しました。
米国特許法102条及び103条による新規性、先行技術、自明性について
米国特許法102条の下での新規性、先行技術文献としての適格性を解説するとともに、103条の下で自明性がどのように定義・判断されるかについて解説しました。
クレーム(請求項)
クレーム(請求項)とは何か、クレームと特許明細書の他の部分との関係、クレームの構成、使用される用語、不明瞭とされる記載、「良い」クレームとは何か、そしてクレームの解釈基準について学びました。
米国特許法112条(f)による「Means Plus Function」クレームについて
「Means Plus Function(MPF)」クレームの概要、MPFクレームの種々の形態、MPFクレームが頻繁に米国特許商標庁から不明瞭であるとして拒絶される理由とその回避策について学習しました。
特許翻訳演習では、英語のネイティブと日本人を含む受講生の皆様に、講座期間中、日→英翻訳の小課題に取り組んでいただきました。匿名で集めた全ての課題の回答は一つにまとめられ、受講生に返却されました。この翻訳課題を講師と受講者の皆さんで一文づつ吟味し、翻訳表現の優れた点と修正すべき点について、翻訳の視点と米国法的視点の両面から議論しました。
ジェームス スプリット
本講座の米国特許法関連の講義を主に担当。米国パテントエージェント。米国特許商標庁(USPTO)の元審査官。専門分野は電気工学、特に電気・磁気の計測・試験技術。
イアン ブレイク
ibip Japan株式会社代表取締役。本講座の特許翻訳演習を主に担当。製造業と技術コンサルティングを経験後、10年以上の特許翻訳実務、および特許翻訳トレーニング講師の実績を有する。